ワルシャワで迎えるポーランド旅行最後の朝。
最後の朝でもいつも通り早朝の散歩は欠かせない。
真夏とはいえ早朝のポーランドはまだ少し肌寒いが、散歩するにはもってこいの気温だ。
カメラを片手にあてもなくブラブラしていると、少しひらけた広場に出た。
と言っても旧市街のようにカラフルでフォトジェニックな建物があるわけではなく、
石畳と木や花が植えられたとても質素な場所だ。
その一角に銃を携えた二人の衛兵が直立しているエリアがあった。
無名戦士の墓、第二次世界大戦中の1944年に破壊され再建されたこの場所は、
1918年から1920年に戦死した兵士の遺骨を納める納骨堂の役割も果たしているとのことだ。
ポーランドの各都市を歩いてみると、どの街にも戦争の傷跡が生々しく残っている。
しかし傷跡だけでなく、そこから復興した信念もまた宿っていることが感じられる。
ポーランドはしばしば不死鳥に例えられるようだが、まさにその通りだ。
早朝のまだ静かなワルシャワの街を歩いて、そんなことを思った。
朝食のために一度ホテルに戻り、そしてそのままホテルをチェックアウト。
さぁ残り半日、残すはワルシャワ市街の観光だ。
まずは聖十字架教会へ。
祭壇を含めて中の作りや装飾はとても荘厳で、朝からため息が出てしまう。
近年は大陸からの某国観光客がとても騒がしいらしく、建物のあちこちに注意を促す文字が書かれているが、この日はとても静かに見て回ることができた。
朝早かったが功を奏したのかもしれない。
あと、この建物の柱の中に、ショパンの心臓が眠っているということらしいのだが、本当だろうか、、、。
真相は定かではない。
さて、時間も限られているのでどんどん進む。
ワルシャワは歩けば歩くだけ色々なランドマークに出会うことができる。
例えばコペルニクスの銅像とそれを囲む惑星のオブジェがいきなり登場したり、
お名前を存じ上げないが何らかの将軍の銅像があったり、ガチムチな彫像があったり、
ショパンの名曲が流れるベンチがあちこちに配置されていたり、と言った具合だ。
そしてそんな歴史とロマンあふれる街を、老若男女問わず電動キックボードに乗って縦横無尽に駆け回っている。本当にとても面白い街である。
次なるランドマークはザムコビ広場を含む、ワルシャワ歴史地区。
広場は十字架を携えた司教が街を見下ろす、ひときわ大きな像が目印で、写真右手奥に見える赤いレンガの建物はワルシャワの旧王宮だ。
この辺り一帯も御多分に漏れず第二次世界大戦で壊滅的な被害を受け、ほとんどの主要な建築物は破壊されてしまったようだが、ポーランド国民、ワルシャワ市民の手によって、見事に復元・再建された。
ワルシャワ歴史地区は世界遺産として認定されているが、現存するものではなく再建された街を世界遺産として認定するのは如何なものか、と言った議論があったというのは有名な話だ。(と言いつつ僕はこの時に初めて知ったのだが)
続いては歴史地区の中のワルシャワ聖ヨハネ大聖堂。
こちらもひときわ大きく、そして特徴的な外観の教会である。
ちなみに大聖堂、というのは大きな教会ということではなく、大司教がいる教会のことらしい。
旅行していると、使う機会のない豆知識だけが増えていく。
しかし、教会をあちこち見て回ると共通して差し込む光が美しいことに気がつく。
きっと設計の段階から光の入り方を計算しているんだろうなぁ、なんて。
観光も最終盤。
ワルシャワの街を一望できる塔の最上階へ。
乾燥して心地の良い風が、街歩きで火照った体と頭をクールダウンしてくれる。
この一週間の旅を振り返るにはあまりにも時間が足りないが、この風の心地よさが今回の旅の全てを表現してくれているといっていいだろう。
塔を降りて、人魚の像がある広場を最後のひと歩き。
遠足の子供たちが水遊びを始めて、引率の先生に怒られている。
どこの国もこの光景に変わりはない。
そんなことを考えていると、ふと現実に引き戻される気がした。
ランチを食べて、空港へ。
10時間の旅路を終えて無事成田空港。時間は一気に進み、翌日の朝だった。
そしてこれがちょうど一年前の今日のお話。
そしてこれにてポーランド編は終了です。
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