5日目。
この旅の最大の目的にして長年の夢でもあった、ヴィエリチカ岩塩坑へ。
世界最古の製塩企業であり、世界遺産として最初に登録された12の遺産のうちのひとつ、それがこのヴィエリチカだ。



深さは地下327m 、全長は複雑に入り組みながら全長300km 以上に及ぶ長大な岩塩の採掘坑道となっていて、今はそのうち3km程度が観光向けに公開されている。
300kmといえば、東京から京都にわずかに届かないほどの距離で、これだけの長さの坑道が人の手によって長年にわたって掘り続けられたのだ。

そして驚くべきは坑道内の床、壁、天井に至るほとんどが岩塩でできていること。
また、坑道内には岩塩で作られた休憩所や宿泊所、キリスト像などの宗教施設も点在し、まさにこの坑道の中で坑夫達が生活を行なっていたのだ。
そのスケールはまさに想像を絶するもので、10年ほど前、某世界遺産な番組を観て以来、ずっと訪れたくて憧れていた場所だった。

そのヴィエリチカにとうとう訪れることができた、この喜び!






メインの見所は何と言っても一際大きく開けた空間となっている聖堂。
目に見える全てが岩塩で構成されていて、レンガに見える壁も岩塩を削って作られているし、キリストの像や壁画も全て岩塩による彫刻。
そして天井からぶら下がるシャンデリアでさえ、透明度の高い岩塩が用いられているのだ。






これこそまさにThe世界遺産、原点にして頂点だ。

長年におよぶ一つの夢がかない、しばし岩塩でできた天井を仰ぐ。
シャンデリアが美しく輝くこの聖堂で、当時の坑夫達は何を考えたのだろう。
(なんとなく職場は3Kっぽいので、転職してぇ、とか思っていたのだろう、きっと。
まぁそれはそれ、今はこの感動を身体一杯享受することにしよう。)



数kmに及ぶ岩塩の道を歩き、ひとつの大きな夢が叶ったことを噛みしめていると、あっという間に出口付近。
最後に岩塩でできたホールが登場。
ここでコンサートや結婚式なんかも行うことができるようだ。
この辺りのスケールや緩さもまた、ギャップがあって楽しい。



あぁヴィエリチカ、もう来るチャンスはないだろうけれど、
僕の期待を全く裏切らない素晴らしい体験をありがとう。




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